鍵の実現
鍵の実現
すでに2001年からIMT-2000(第3世代携帯電話)の商用サービスが始まっている。
通信速度は384Kbps〜2Mbps(静止時)のレベルであるが、マルチメディア移動アクセス(MMAC)推進協議会が研究している、5GHz帯の無線アクセスを利用した移動体通信の開発が進んでおり、これが実現すれば、通信速度は20〜25Mbpsまで伸びる可能性がある。
この速度は、地上波テレビ放送の画像並みの映像配信が可能なレベルである。
第3に、インターネットの爆発的普及である。
N研究所では、2008年時点でインターネット接続世帯が3000万世帯、うち中高速(256Kbps以上)アクセスユーザーは1500万世帯程度に達すると予測している。
インターネット利用者の増大に加えて、複数の相手を指定して同じデータを送信する「IPマルチキヤスト」技術の採用により、音声や映像などの大規模データなどを、放送のような形で配信することが容易になる。
次世代のIP(インターネットプロトコル)であるIPv6(IPバージョン6)技術は、特定の通信のための帯域を予約し、一定の通信速度を保証するQoS(クウオリテイ・オブ・サービス)機能や、マルチキヤスト機能に標準対応しているので、インターネット放送の普及が大幅に促進されると予想される。
IPv6は、43億の4乗個という膨大なアドレス設定が可能になるので、今後、情報家電やITS(高度道路交通システム)の進展とともに、パソコンに加え、家電や自動車もインターネット端末としてネットワーク化され、時と場所を選ぶことなく、高品質映像が提供される。
このような種々の技術が融合することで、放送と通信の融合化を加速させている。
<通信と放送の融合現象>これらの技術革新によって引き起こされる通信と放送の融合現象は、一般に4つに区分される。
第1は、通信と放送の中間的な性格をもつ、「サービスの融合」である。
従来、通信の分野においては、私信であることや内容の秘匿’性がその特’性とされてきた。
しかし、ストリーミング(逐次受信・再生)技術を用いたネット上でのコンテンツ再生のように、IPを利用すれば、通信網を利用した一対、の情報伝達が可能になり、多数の視聴者に動画映像と音声を送信する「公然性を有する」通信サービスが実現する。
また、現在電子掲示板、電子メール、ファクシミリ、電話会議システム、ホームページなどでも、通信による一対、の情報伝達が行われている。
他方、本来不特定多数を基本とする放送においても、有線ラジオ、BS(放送衛星)、CS(通信衛星)のような、「特定性を有する」放送サービスが提供されてきている。
このような通信と放送の両方の特徴をあわせもつ中間的なサービスは、今後も増大していくことが予想される。
第2は、通信と放送の両サービスが、共通の伝送路を利用する、「伝送路の融合」である。
地上波放送については、放送法第2条3項で放送局を無線局と定義しており、同法第2条3項2号では、放送事業者を放送局の免許を受けた者とし、同法第3条では放送事業者に対して番組の編集の基準を定めている。
つまりハードとソフトは一体化している。
しかしながら、CSデジタル放送に関しては、同法第52条9項1号により、従来の地上波放送とは異なり、放送番組を制作・編集する委託放送事業者と、通信衛星を所有して放送波を送信する受託放送事業者が分離されている。
また、CATVネットワークを利用したインターネットサービスや、光ファイバー網を利用したCATV事業など、共通の伝送路を用いたサービスの融合も見られる。
第3は、情報家電など、多様な端末を通信にも放送にも利用できる「端末の融合」である。
最近ではテレビチューナー内蔵のパソコンも売り出されており、パソコンで地上波テレビ放送のコンテンツが見られるだけでなく、残しておきたい番組の録画や編集も可能になっている。
韓国では、過去の地上波放送番組をいつでも見られるサイトが人気を博している。
またテレビを利用して、インターネット接続ができるセットトップボックスが家電メーカーから発売され、1つの端末が通信と放送サービスに利用できる、端末の融合化が進みつつある。
第4は、同一事業者が通信サービス、放送サービスの両方を兼業する「事業者の融合」である。
当初、放送事業者と電気通信事業者間の相互参入はほとんど見られなかった。
これは制度的なことよりも、たとえば通信事業者から見た場合にはコンテンツ制作ビジネスのノウハウが不足し、放送事業者から見た場合には通信ビジネスに関するノウハウがないといった経営的な問題に起因している。
しかし、ここ数年、商社やアメリカ企業を中心とした外資の参入が相次ぎ、状況は変わりつつある。
衛星通信事業者であるJSATは、放送分野ではCS放送サービスを、通信分野では国際専用線を利用した国際衛星通信サービスを提供している。
このような通信網、放送網といった分け方や、通信といえば有線、放送といえば無線という概念も、融合の進展によりほとんど意味のないものになりつつある。
他方で、現在の法規制がこれらの技術革新に合わなくなってきており、いくつかのねじれ現象が生じている。
インターネット上のマルチキャストによる動画などの送受信が放送に該当しなかったり、地上波テレビ放送ではテレビ本体と番組が一体化されていたりする。
また、1990年代後半から問題視されてきた「通信の公衆性」、「放送の特定性」をどのように規定すべきか、といったことも未解決である。
実際に生じている現象に対応した、素早い政策立案および実施が、日本の産業競争力向上のためにも急がれる。
融合の進展は、単に通信産業と放送産業だけにとどまるわけではない。
融合への推進力となるユビキタス・ネットワーク技術やサービスなどを有効活用することで、あらゆる業種はその恩恵を受けることになる。
そしてそれは産業構造に変化をもたらし、経済活動全体を変革していく。
縦割りになっていた業界の構造が崩れ、さまざまな情報が統合されて、有線・無線を問わず多様な伝送路を通り、国境を越えて流通するような構造になると予想される。
アクセス回線のブロードバンド化の進展や、デジタル放送の普及で、コンテンツヘの需要が高まっている。
一般ユーザーにも、ストレスなくコンテンツを提供できるようになり、出版、映像、音楽、ケームなど、あらゆるコンテンツを多様な端末と回線で流通できる仕組みが整備されつつある。
また双方向型のコンテンツ提供方式も可能となるなど、事業者と生活者間および企業間のコンテンツ流通モデルの多様化が進み、コンテンツ流通市場も拡大し続けている。
N研究所では、2008年にはゲーム、音楽、出版、映像分野のデジタルコンテンツによって1兆34億円程度の規模に成長すると予測する。
しかしながら、ここ数年、利用者同士が直接データを検索することができるPtoP(ビア・ツー・ビア)形式でコンテンツをやりとりする手法が急速に広がっており、著作権侵害の問題になっている。
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